種類が豊富な柿の中には、種が無い「種無し柿」もあり、食べやすいことから大変人気がありますが、種無し柿にはどのような品種があるのか、皆さんはご存知でしょうか。
そこで今回は、種無し柿の主な品種や種無し柿の産地・品種の特徴、種無し柿と富有柿の違いなど、種無し柿について詳しくご紹介します。
種無し柿の品種ができるのはなぜ?など、知って得する豆知識もご紹介しますので、最後までぜひご覧ください。
種無し柿の主な品種
種無し柿の主な品種は以下のとおりです。
- 中谷早生柿(中谷早生柿)
- 刀根早生柿(とねわせがき)
- 平核無柿(ひらたねなしがき)
中谷早生柿の出荷時期は9月上旬~中旬、刀根早生柿の出荷時期は9月中旬~10月上旬、平核無柿の出荷時期は10月中旬~11月上旬。
中でも、もっとも生産量が多い品種が刀根早生柿で、早生種なので収穫時期が早く、9月中旬~10月上旬に市場に出回ります。
種無し柿の産地と品種の特徴
種がない柿「種無し柿」は、文字通り種がないため食べやすいことから人気があります。
そこで、種無し柿の中でも有名な品種「刀根早生柿」と「平核無柿」の産地、特徴をご紹介します。
刀根早生柿の産地と特徴
刀根早生は、奈良県天理市の柿農園で、渋柿の代表品種「平種無」の枝変わりとして発見され、1980年(昭和55年)に品種登録された渋柿です。
主な産地は、奈良県や和歌山県などで、奈良県は全国7割の生産量を占めており、渋柿から渋を抜くことで、甘味が強くてやわらかい、とろっとした美味しい柿になります。
平核無柿の産地と特徴
平核無柿の原産は新潟県ですが、山形県の庄内地方で「庄内柿」として栽培が広がり、明治42年に「平核無柿」と名付けられました。
ちなみに山形県では庄内柿と呼ばれていますが、新潟県では「八珍柿」、和歌山県では「紀の川柿」や「おけさ柿」とも呼ばれています。
平で四角に角張った形をしており、食感も良く比較的日持ちが良いのが特徴。
果重は240g程ですが、和歌山県では1個400g以上と特大平核無柿「クイーンパーシモン」のブランド柿もあり、味が良く食べごたえもあることから人気があります。
種無し柿と富有柿の違い
種がなく食べやすいことから人気の品種「種無し柿」ですが、歴史が古く、栽培量が最も多い品種が「富有柿」です。
どちらも人気の品種ですが、種無し柿と富有柿にはどのような違いがあるのでしょうか。
まずは「形」。
種無し柿は扁平で四角に角ばった形をしており、富有柿も同様に平たい形をしていますが、種無し柿よりもふっくらとした丸みがあります。
次に「味」ですが、種無し柿は「不完全甘柿」、富有柿は「甘柿」に分類され、どちらも甘くなめらかな食感がありますが、富有柿は食感が柔らかく後を引くような甘さがありますが、種無し柿は甘さ・風味のバランスが良く、どちらかといえばすっきりとした味わい。
種無し柿の方が実は固めで、カリッとした食感が味わえます。
種無し柿の品種ができるのはなぜ
柿には種ありと種無しがありますが、種無し柿の品種ができるのはなぜなのでしょうか。
そもそも柿には雌花と雄花の木があり、ハチが雌花の木に花粉を運んで実がなります。
基本的には受粉によって種ができ、その種があることで実が大きくなるのですが、種ができないまま果実が成長する「単為結果(たんいけっか)」という性質があり、これが平核無柿や刀根早生柿といった品種で、6〜7月頃にあった小さな種が消えて種無し柿になるのです。
このように、種無し柿は人工的に作られたものではないのです。
干し柿に使う柿の品種
不完全渋柿の柿を出荷時に渋抜きを行うことで甘くなる種無し柿ですが、渋柿を乾燥させた「干し柿」も人気があります。
干し柿に使う柿の主な品種は、
- 干し柿の王様と呼ばれている【堂上蜂屋(どうじょうはちやがき)】
- 釣鐘状の形が特徴的な【甲州百目(こうしゅうひゃくめ)】
- 種無し柿とも呼ばれている【平核無(ひらたねなし)】
- 強い渋みと甘さがある【紅柿(べにがき)】
- もっちりとした食感と上品な甘さの【市田柿(いちだかき)】
- カットすると4つの溝があることから名付けられた【四ツ溝(よつみぞ)】
- 糖度が高く日本一美味しい柿とも言われている【西条(さいじょう)】
- 果実の大きさが300〜350gと大きい【愛宕(あたご)】
- 小ぶりで丸く綺麗な形をしている【葉隠(はがくし)】
- 富山県南砺地方独特の品種で糖度が高い【三社(さんじゃ)】
など。
このように、干し柿に使う品種は多いですが、中でも干し柿の人気品種が「平種無」と「市田柿」。
ぜひご自宅で干し柿を作る際の参考にしてみてください。
美味しい種無し柿の見分け方
最後に、美味しい種無し柿の見分け方をご紹介します。
柿を選ぶ際のポイントは、
- 表面に傷がないもの
- ツヤツヤしているもの
- ヘタがきれいで果実にしっかりついているもの
- 重量感のあるもの
の4つ。
果実全体がきれいなオレンジ色で、ツヤや張りがあり、ずっしりと重みのあるものを選ぶようにしましょう。
まとめ
今回は、種無し柿の主な品種や種無し柿の産地と品種の特徴など、種無し柿についてご紹介しました。
種が無いので食べやすいのはもちろん、まろやかな甘さととろける食味が魅力の種無し柿。
ぜひご賞味ください。