もっとも古くから栽培されてきた柿は、秋を代表する味覚のひとつです。
そんな柿には、渋くてそのままでは食べることのできない渋柿もあります。
しかし、渋柿も渋抜きをすることで甘くおいしく味わうことができます。
そこで今回は、生産量が多い渋柿の品種をはじめ、おいしいと評判の品種についてお伝えします。
また、おすすめの渋柿の品種一覧や、そもそも渋柿はなぜ渋いのかについてもご紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
生産量が多い渋柿の品種といえば「平核無」
古くから、お菓子や保存食として親しまれてきた干し柿。
干し柿は、渋柿を天日干しや加熱することで渋味を抜いて作ります。
そもそも柿は渋柿、甘柿など、その品種は1000種類以上あると言われています。
ここでは、まず日本国内の生産量がもっとも多い渋柿の品種のひとつである、平核無(ひらたねなし)をご紹介します。
平核無は渋柿を代表する品種で、平たく四角い箱形で、種(核)がないことから「ひらたねなし」と呼ばれるようになりました。
- 山形県では「庄内柿」
- 新潟県では「八珍」
- 佐渡島では「おけさ柿」
など、産地によって呼び名が変わります。
10月下旬~11月中旬頃に、出荷のピークを迎える平核無。
糖度は12~14度程度で、炭酸ガスなどによって渋みを抜いて出荷されます。
種がなく食べやすく、肉質も柔らかいのでとても人気の品種です。
人気の渋柿の品種「刀根早生」
糖度は14~18度程度と高い、刀根早生(とねわせ)。
1980年に登録された品種で、平核無に次いで生産量が多いです。
果実は平種無に似た外観をしており、極早生で、果皮の色は鮮やかなオレンジ色で光沢があります。
先述した通り糖度が高く、甘みが強い品種です。
さらに果汁も豊富なため、果肉は硬すぎず、柔らかすぎず、脱渋がしやすいのが特徴です。
そのため、渋みが残らず甘くおいしい干し柿になります。
和歌山県や奈良県、新潟県など日本各地で生産されています。
「富士」もおいしいと評判の渋柿の品種
古くから全国的に分布している、富士。
地域ごとにさまざまな呼び名があります。
- 甲州百目(こうしゅうひゃくめ)
- 蜂屋
- 水蜂屋
- 大蜂屋
- 富士山
- 百目
- 渋百目
- 代白(だいしろ)
- 赤日本
東北地方では、主に「蜂屋」の呼び名で親しまれています。
平均300g〜500gという大きなサイズで、肩のとがった逆三角形をしています。
ヘタの部分を下向きに置くと、富士山のような三角に見えることから名づけられたそうです。
焼酎を使ったアルコール脱渋法で渋抜き処理をしてから出荷され、追熟することで、果肉が軟らかくなり糖度も増します。
完熟したものはゼリーのような食感で、スプーンですくって食べることができます。
サイズが大きく見栄えが良いので、大切な方への贈答用としても人気です。
その他おすすめの渋柿の品種一覧
日本国内で育てられる渋柿には、まだまだほかにもたくさんの品種があります。
ここでは一覧でご紹介します。
- クイーンパーシモン
- ベビーパーシモン
- 紀の川(きのかわ)
- 中谷早生(なかたにわせ)
- 太天柿(たいてん)
- 大和(やまと)
- 愛宕(あたご)
- 四ツ溝(よつみぞ)
- 西条(さいじょう)
- 祇園坊(ぎおんぼう)
- 身不知柿(みしらず)
- 法蓮坊(ほうれんぼう)
- 葉隠(はがくし)
- 高瀬(たかせ)
特に有名な西条柿は、広島県が原産で古くからあったとされる品種です。
果実は縦長で側面に4本の深い溝が入っています。
通常、渋柿は収穫後「渋抜き」してから出荷されます。
しかし、西条柿は渋柿ながら、柔らかくなるまで木の上で熟すと渋みが抜けて甘くなり、そのまま食べることができます。
そもそも渋柿はなぜ渋いのか
柿は、大きく分けると渋柿と甘柿に大別されます。
一般的に寒冷地で渋柿、温暖地で甘柿が栽培されます。
渋柿は口に入れると可用性タンニンが溶け出し渋みを感じます。
そのままでは食べることが難しい柿です。
なぜ渋い柿と、甘くなる柿があるのでしょう。
それは、渋み成分であるタンニンの含有量によって分かれます。
渋柿は、口に入れると可用性タンニンが舌の上で溶け出し渋みを感じます。
そのままでは食べにくいため、渋抜きなどの処理が必要です。
甘柿が甘くなる理由は、熟していくと可溶性タンニンが不溶性タンニンに変わり、渋みが抜けるからです。
そのため、生のままで食べることができます。
柿を切ったときに、黒い斑点が見られることがあります。
黒い斑点は、甘柿の渋みが変化したものなのです。
そのため、黒い斑点がある柿は甘い傾向にあります。
また、渋柿と甘柿には、それぞれ不完全渋柿と不完全甘柿があります。
不完全渋柿は、種の周りの渋みが抜ける渋抜きをすることで、美味しく食べることができます。
まとめ
この記事では、渋柿の品種についてご紹介してきました。
日本国内で育てられている柿は、その歴史も古く、種類もとても豊富です。
渋柿は、そのままでは渋くてとても食べることはできません。
しかし、渋抜きをしたり、干し柿にすることで美味しく食べることができます。
糖度が高く甘くいただける品種がたくさんありますので、ぜひ渋柿を美味しく味わってみてはいかがでしょう。