鉢植えで家庭菜園が楽しめるイチジクの品種-選び方や育て方

最終更新日:2024/11/18

鉢植えで家庭菜園が楽しめるイチジクの品種-選び方や育て方

家庭で育てられる家庭果樹のことを、ホームフルーツと言います。
この記事では、ホームフルーツの代表選手、イチジクについてご紹介します。
庭がなくても鉢植えで収穫が楽しめる、育てやすいイチジクの品種について、選び方や育て方などをまとめました。

鉢植えにおすすめのイチジクの品種

植物を鉢に植えて栽培する鉢植えは、ベランダのなどミニ菜園でも栽培することができます。
ご自宅に庭がなくても、植物を育成できることが魅力です。

家庭で収穫が楽しめるホームフルーツとして、イチジクが人気なのをご存じでしょうか。
世界中に500種類以上あると言われているイチジクの中でも、鉢植え栽培におすすめな品種をご紹介します。

桝井ドーフィン

日本で販売されているイチジクのうち、約8割を占める品種です。
明治時代に桝井幸次郎氏がアメリカから持ち帰り、栽培のしやすさと日持ちすることから全国に普及しました。

桝井ドーフィンは、熟すと果皮が赤褐色になり、果肉の中心部が薄紅色になります。
適度な甘みと爽やかな風味があり、生食はもちろんジャムにもおすすめです。
果実の重さは80gから200gで、8月から10月に収穫されます。

ホワイトゼノア(ブルンスウィック)

ホワイトゼノアという名前で流通していますが、本来はブルンスウィックという品種名です。
さっぱりした甘みが人気で、果皮が薄いので完熟すると皮ごと食べることができます。
糖度は16度から20度ですが、30度になるものもあるそうです。

ホワイトゼノアは耐寒性が高く、北海道の南の地域でも栽培できます。
着果数が多い品種ですので、収穫量も期待できそうですね。

日本イチジク

蓬莱柿(ほうらいし)」や「在来種」とも呼ばれる、江戸時代から日本に長く定着している品種です。
産地は広島県で、関西より西の地方でよく栽培されています。

甘い味の中にほのかな酸味があり、上品な風味です。
旬は10月で、9月以降から出回ります。

鉢栽培に適したイチジクの品種の選び方

イチジクは品種がとても多いので、選ぶのに迷ってしまうかもしれません。
ここでは、鉢栽培に適したイチジクの品種の選び方についてご紹介します。

地域の気候に合った品種を選ぶ

暖かい地域のお住まいの場合は、イチジクは育てやすいです。
しかし、イチジクは寒さに弱いという特徴があります。
寒い地域にお住まいの場合は、寒冷地でも育つ苗木を選びましょう。

【寒い地方に強いイチジクの品種】

  • ホワイトゼノア
  • 日本イチジク(蓬莱柿)
  • セレスト

目的に合わせて選ぶ

早い時期に収獲したい、着果数の多い物が良い、珍しい希少種を育てたいなど、目的を持ってイチジクを選びたい場合もあるでしょう。
そのような目的に合わせたイチジクの品種をご紹介します。

  • 着果数が多いイチジクの品種…ホワイトゼノア
  • 収穫時期が早いイチジクの品種…キング、サマーレッド
  • 珍しいイチジクの品種…バナーネ、ビオレソリエ、ブリジャソットグリース

鉢植えイチジクを育てやすい栽培環境

アラビア地方が原産のイチジクは、寒さには弱い傾向があります。
一般的には、最低栽培温度は-9度、1月の平均気温が3度以上。
これらの条件が、イチジクを育てるのに適していると言われています。

鉢植えイチジクでは、冬は室内に移すなど環境を整えれば、寒冷地でも十分に育ちます。
日向で育てることが基本ですが、真夏は直射日光を避けて半日陰に置くようにしましょう。

鉢植えイチジクの育て方

土を作り、苗木を選び、植え付けする。
このプロセスは、ホームセンターやネットショップなどの通販で購入した苗木を、サイズの合った鉢に植え替えする時にも必要です。
植え替えする際にも覚えておきたい、イチジクの鉢植えでの育て方を、土作りからご説明します。

用土

イチジクを育てる土は、湿り気があり、水はけのよい土が適しています。
鉢やプランター用のハイポネックス培養土を用意すると良いでしょう。

苗木選び

虫食いや病気の兆候がないかを確認して、苗木を選びます。
短期間で収獲したい場合は、ある程度成長した鉢植え苗がおすすめです。
お住まいの地域の気候に合った品種を選ぶようにしましょう。

植え付け 

植え付けは、11月から3月が適している時期です。
寒冷地の場合は霜害を防ぐため、イチジクを植える時期は春にしましょう。
植えたい場所に50cm程度の穴を掘り、苗の根鉢を崩してから深すぎないように植え付けします。

鉢植えイチジクを上手に育てるポイント

イチジクの鉢栽培を成功させるポイントを、肥料や芽かき、冬越しの観点からご説明します。

肥料

生育の仕方が旺盛なイチジクは、多くの肥料を必要とします。
植え付け時に、元肥として油かすや堆肥などを混ぜ込みましょう。

土壌をイチジクが好む弱アルカリ性から中性に保つため、苦土石灰も施すのがおすすめです。
4月以降は科学肥料を与え、9月から10月に追肥を施し、12月から1月にかけて寒肥を与えます。

芽かき

芽かき(めかき)とは、不要な芽を取り除くことです。
春になると多くの新芽が出ますが、次に実をつける芽だけを残し、残りを摘み取ります。

横や下向きに勢いよく伸びている芽は残しておき、上向きで勢いのない芽や、芽と芽の間が近すぎるものなども摘み取りましょう。
芽かきを行うタイミングは、以下の通りです。

  • 1回目…本葉が2~3枚開いた頃
  • 2回目…本葉が5~6枚開いた頃
  • 3回目…本葉が8~9枚開いた頃

冬越し

寒さが苦手なイチジクは、10度以下になると枯れてしまう品種もあります。
冬期間は、鉢植えを暖かい室内に移動して寒さ対策をしましょう。

ただし、暖房の風が直接当たる場所や気温が上がり過ぎる場所は避けてください。

イチジクは何年で実がなる? 

イチジクは、植えてから3年前後で実をつけます。
早くても3年と言われてますので、植えて数年は実がならないと焦る必要はありません。
5年もすれば、十分に実をつけるようになるでしょう。

まとめ

イチジクは鉢植えでも実をつけますので、家庭でのコンパクト菜園におすすめでした。
あまり木を大きくしたくない場合は、一文字仕立てにすると良いでしょう。
一文字仕立てとは、果樹の剪定方法のひとつです。
枝を横向きに伸ばし、主枝に交互に新梢を配置していきます。
それぞれの芽が上にバランス良く伸びていくので、木が小型になります。
受粉樹が必要なく1鉢だけでも実がなりますので、ぜひ鉢植えイチジクの家庭栽培にチャレンジされてはいかがでしょうか。

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