沖縄と聞いて、どんな果物をイメージしますか?
すぐにパッと思い浮かばい方も多いと思いますが、沖縄では馴染みのあるあの果物から、他県ではあまり見かけない果物まで様々な果物を栽培しています。
そこで今回は、沖縄の果物の生産量にスポットを当てて、沖縄で生産量が多い果物や生産量が多い理由、沖縄の果物事情などについてお伝えしたいと思います。
沖縄で生産量が多い果物ランキング
沖縄で生産量が多い果物を収穫量の多い順にランキングで見ると、
- 【パイナップル】収穫量7,340トン
- 【シークヮーサー】収穫量3,398トン
- 【マンゴー】収穫量2,206トン
- 【バナナ】収穫量131トン
- 【ドラゴンフルーツ】収穫量106トン
と、パイナップルがダントツの1位で、全国シェア約100%。
次いで、シークヮーサー、マンゴー、バナナ、ドラゴンフルーツと沖縄らしい南国の果物が並びます。
※令和2年3月1日時点における農林水産省による公表データー
沖縄でも生産量が少ない珍しい果物も
上記の他にも、県外ではあまり馴染みのない、沖縄ならではの珍しい果物もあります。
- 沖縄在来種のミカン【カーブチー】収穫量59.4トン
- 沖縄で作られる12月頃のわずか1ヶ月しか味わえないミカン【オオベニミカン】収穫量48.8トン
- 「森のアイスクリーム」とも言われるクリーミーな甘みが特徴の【アテモヤ】収穫量42.1トン
他には、アセロラ、スターフルーツ、グアバ、タンカン、パッションフルーツ、アマクサ、パパイヤなど、沖縄らしい南国の果物が作られています。
このように、沖縄では様々な果物が作られていますが、収穫量から見てもわかるように、パイナップル以外の果物は全体的に生産量があまり多くはありません。
では、なぜパイナップルの生産量が多いのでしょうか。
沖縄が生産量一位の果物パイナップル、生産量が多い理由とは
パイナップルと聞くと輸入物が多い印象ですが、国内産のパイナップルは沖縄県産がほとんど。
生産量日本一の沖縄県産パイナップルですが、実は県内でも本島北部と石垣島の土地で主に栽培されています。
そもそもパイナップルは、温暖な気候でしか栽培できない南国のフルーツ。
糖度の高い甘くて美味しいパイナップルを作るには、
- 酸性の赤土で水はけのいい土地
- 気温30度~35度と高い夏の時期
が必須条件。
その条件が揃っているのが本島北部と石垣島でパイナップル栽培に適しているわけです。
沖縄でパイナップルが作られるようになった理由
日本にパイナップルが伝えられたのは江戸時代末期の1866年。
石垣島沖で挫傷したオランダ船がきっかけで、沖縄にパイナップルの苗が伝来されたと言われています。
伝来されて以降、さとうきびと並んで生産が盛んに行われたパイナップルですが、その後、オイルショックや冷凍パイン輸入の自由化、経済不況の影響で大打撃を受け低迷します。
現在ではパイナップルの生産が盛んに行われていますが、これは、石垣島の住民が沖縄県産の完熟パインを本土に送ったところ美味しいと好評だったこと、そして、郵便局のゆうパックなどによる全国発送の始まりにより、パイナップルの取扱量を増やす活動が増えたことが影響したようです。
生産量が多いのにスーパーで見かけないのはなぜ-沖縄の果物事情
このように、沖縄ではパイナップルをはじめ、南国らしい果物が栽培されていますが、不思議とスーパーでは沖縄県産の果物を見ることはありません。
それはなぜなのでしょうか。
生産量の多い沖縄の果物が国内に出回らない理由
沖縄県の道の駅などでは、シーズンになるとマンゴーなどの果物を見かけるようになりますが、県以外で沖縄県産のマンゴーを目にすることはほぼなく、ほとんどが宮崎産。
沖縄の果物が国内にほとんど出回らないのですが、その理由としては、
- 小規模な農家が多い
- 人手が足りない
- 人を雇う余裕がない
- そもそも沖縄県産の果物が知れ渡っていない
などが挙げられます。
これらの理由から生産量を増やすことが難しく、また、沖縄県内の人は農業に対する関心があまり高くないのも影響して、結果的に生産量が増えず、国内に沖縄の果物がなかなか出回らないようです。
輸入量の方が遥かに多い
パイナップルはフィリピンからの輸入が多く、いくら沖縄のパイナップルが生産量日本一とはいえ、やはり輸入量の方が遥かに上回りますし、果物の中でも人気が高いバナナも、輸入量に比べて生産される量はかなり少なくです。
また、根が浅いバナナは台風の影響を受けやすいため、台風が多い沖縄で収穫量を増やしたとしても、それと同時にリスクも増加することも生産量が増えない理由の一つです。
沖縄で生産量が多い野菜
沖縄では、果物以外にも、沖縄の気候を活かして、
- 冬瓜
- ゴーヤー
- キャベツ
- レタス
- かぼちゃ
- オクラ
- さやいんげん
などの野菜も生産されています。
特に沖縄を代表する野菜ゴーヤーは、これまで県外への出荷量も増加していましたが、他県でも栽培されることから競争が激化し、近年は横ばい傾向となっているようです。
沖縄で生産量、耕地面積共に多い農作物は「さとうきび」
これまで沖縄で生産量が多い果物や野菜をご紹介してきましたが、沖縄で生産量、耕地面積共に多い農作物は「さとうきび」です。
さとうきびは、砂糖を作るだけでなく、しぼりカスをさとうきび栽培の肥料や製糖工場の燃料として使ったり、しぼり汁から取り除かれたとうみつを家畜のエサなどに使ったりと、捨てるところがない優秀な作物。
そんな利用価値の高いさとうきびは、沖縄県農家の7割以上が栽培する、昔から沖縄の地域経済を支えてきた作物でしたが、日照不足や台風、病害虫の影響によって、平成23年度から3年連続で生産量が低迷。
それを深刻に受け止めた農林水産省により、「さとうきび増産プロジェクト会議」や「さとうきび増産基金」を立ち上げ、生産量の向上や担い手の育成対策と、生産量と一緒に取り組んでいるようです。
最後に
今回は、沖縄の果物の生産量にスポットを当ててご紹介してきました。
生産量日本一とはいえ、残念ながら沖縄産の果物を県外のスーパーで見かけることがないのが現状ですが、沖縄には魅力的な果物がたくさんあることがおわかりいただけたと思います。
沖縄へ行く機会がある際は、ぜひ購入して味わってみてはいかがでしょうか。