スーパーへ行くと目にする、山梨県産のみずみずしい果物たち。山梨県は国内でも果物の生産量上位に位置する県です。
そこで今回は、山梨の生産量1位の果物は?なぜ山梨は果物の生産量が多いのかという疑問、山梨の果物の歴史について詳しくご紹介したいと思います。
最後に山梨が抱える果物生産の問題点と取り組みについても記載していますので、合わせてご覧ください。
山梨の生産量1位の果物
多くの果物を作っている山梨県。中でも生産量1位を誇るのは、
- 【ぶどう】全国シェア24.14%
- 【もも】全国シェア33.25%
- 【すもも】全国シェア33.13%
の3つの果物。(2020年度までの過去15年間のデータから算出)
特にぶどうは、栽培面積、生産量ともに日本一で、古くは約1,300年前から作り始めたと言われおり、加工品の生産も盛んで、日本ワインの発祥の地とも言われています。
また、山梨県は県全体の77.5%が森林と山々に囲まれている中で、農地は5.7%と狭く、その狭い農地を最大限に使ったぶどう園の面積は県全体の0.847%を占める広さで、「都道府県面積に対するぶどう結果樹面積(果実を収穫できる果樹の面積)の割合」でも山梨県が1位となっています。
なぜ山梨はぶどうなど果物の生産量が多いのか
日本のほぼ中央に位置する山梨県は、富士山をはじめ、八ヶ岳や南アルプスなどの有名な山々に四方を囲まれた「海なし県」。
そんな環境下の中で、なぜ山梨県が果物の生産に適しているのかというと、
- 昼と夜の1日の気温差が大きい
- 年間を通して日照時間が長い
- 年間の降水量が日本一少ない
- 美味しい水が豊富
といった、果物の栽培に適している環境が揃っているから。
また、水はけが悪いと根腐れや病気の原因になりますが、甲府盆地は水はけのよい「扇状地」と理想の地形なことも、果物の栽培に適している理由の1つです。
果物の出荷量ランキング、都道府県別で山梨は第7位
ぶどう、もも、すももの生産量日本一を誇る山梨県ですが、果物の出荷量ランキングでは、都道府県別で山梨は第7位。
1位は青森県、2位は愛媛県、3位は和歌山県、4位は長野県、5位は静岡県、6位は熊本県となっています。
全国の出荷量で多い果物の1位がみかん、2位がりんごなので、特産品としている青森県、愛媛県、和歌山県は上位に位置するのは当然の結果でしょう。
ただそんな中で山梨県は耕地面積の割合が低いにもかかわらず、土地生産性が全国的にも高いので、果樹栽培がいかに盛んかということがおわかりいただけるのではないでしょうか。
江戸時代から続く山梨の果物の歴史
山梨の果物の歴史は、江戸時代に遡ります。
かつて江戸時代では経済発展に果物が役立つと目され、さらに甲州街道の整備によって、山梨県で生産されていたぶどう、なし、もも、かき、くり、りんご、ざくろ、くるみまたは銀杏の果物が珍重され、甲州街道を経由して献上品として江戸に運ばれていました。
この8種類の果物を「甲州八珍果(こうしゅうはっちんか)」と言い、山梨が輸送面でも便利な地であることと、高収益を見込めることから、各町村で果物が作られるようになり、現在のように果樹栽培が盛んになったのです。
山梨で生産量が多い果物、ぶどう、もも、すももの主な品種
ではここで、山梨で生産量が多い果物、ぶどう、もも、すももの主な品種についてご紹介します。いずれも栽培面積、生産量ともに日本一を誇り、様々な品種が栽培・生産されています。
ぶどうの品種
山梨で生産されているぶどうの主な品種は以下のとおりです。
- 小粒で日本人好みの【デラウェア】
- 黒色で粒が大きい【巨峰】
- 山梨県オリジナル品種【ブラックキング】
- 酸味が少なくジューシーな食感の【藤稔】
- 糖度が高く鮮やかな赤色の大粒【悟紅玉】
- 山梨県で最も生産量が多い【シャインマスカット】
- 果粒が大きくボリューム感がある【ピオーネ】
- 糖度が高く硬めの食感が美味しい【クイーンニーナ】
- 外観・食味・糖度に優れている【ロザリオビアンコ】
- 山梨県を代表する赤色の晩生種【甲斐路】
- ワインの原料にも利用されることが多い【甲州】
ももの品種
山梨で生産されているももの主な品種は以下のとおりです。
- 山梨県で最も生産量が多い品種で、酸味が少なく上品な味わいの【白鳳】
- 外観・食感・味覚の3拍子そろった【浅間白桃】
- 白色の果肉と果汁の多さが特徴的な【日川白鳳】
- すっきりとした甘さとおだやかな酸味、日持ちしやすい【ちよひめ】
- 山梨県オリジナル品種の【夢桃香】
- 大玉で糖度も高く県内各地で生産されている【夢みずき】
- 大玉で甘く着色がよい【なつっこ】
- 3大玉で甘く、晩生の主力品種【川中島白桃】
- 大玉で日持ち性、食味ともに優れている【幸茜】
すももの品種
山梨で生産されているすももの主な品種は以下のとおりです。
- 6月上中旬から収穫が始まる甘酸っぱい【大石早生すもも】
- 糖度が高く酸味が少ない【菅野中生】
- 見た目は緑色で果肉は赤い、山梨県のすももの主力品種【ソルダム】
- 糖度は15~17度甘く鮮やかな紅色が特徴的な【サマーエンジェル】
- 200g以上の大玉ながら酸味が少なく糖度が高い、すもものイメージを一新させた【貴陽】
- 紫色の美しい外観と硬い果肉が美味しい【太陽】
- 250g以上の極大玉で糖度も高く外観も美しい【皇寿】
果物王国山梨が抱える問題点と取り組み
国内だけでなく、海外展開にも力をいれている山梨県。
その背景にあるのは、国内の果実全体の消費量の減少傾向にあります。
そこで目をつけたのが経済発展の続くアジア諸国。
海外でも人気高いの山梨の果物を広めようと、これまでマレーシアやシンガポールに拠点を設けて海外販売等に力をいれてきましたが廃止し、今後はSNSをメインに、中国、香港、台湾を対象にプロモーション活動、また新規市場の開拓に積極的に取り組むようです。
山梨県産の果物はどれも高品質で美味しいものばかり。
今後は国内だけでなく、海外でも山梨ブランドとして注目が高まりそうです。